焼酎の原料となるサツマイモのカットに挑戦するバーテンダーら=14日、さつま町時吉
米国で著名なバーテンダーや飲食店オーナーら6人が14日、鹿児島県内を訪れ本格焼酎の蔵元や鹿児島大学の研究機関を視察した。焼酎など日本の「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産へ登録される見通しとなる中、6人は造り手らと交流し、焼酎の魅力や伝統への理解を深めた。
鹿児島、宮崎、熊本、大分4県が、2021年度から合同で取り組む米国向け輸出プロジェクトの一環。鹿児島県酒造組合によると、県産焼酎の輸出量のうち米国向けは1割強にとどまる。視察は、酒類市場の大きい米国で影響力のある飲食関係者らに魅力を深く知ってもらうことで、アピールしてもらう狙いがある。
14日は、さつま町の小牧醸造を訪れ、和がめを使った仕込みなどの製造工程を見学し、原料のサツマイモのカットにも挑戦。こうじの種類や製造法についても積極的な質問が出た。
米ニューヨークでバーのオーナーを務めるフィル・ワードさん(50)は、ロックで試飲し「こうじの違いで味わいが全く異なり、どれもおいしい。国に戻って魅力を発信したい」。同社の小牧一徳社長(51)は「米国ではほとんど取り扱われていないが、今後の販路拡大を目指す上で、商品の魅力的な伝え方を考える機会にもなった」と話した。
鹿大では、原料やこうじの種類による違いについて、焼酎・発酵学教育研究センター焼酎製造学部門の吉崎由美子准教授(45)が講義。米ワシントンのバーテンダー、ドン・リーさん(43)は「焼酎造りの歴史の流れが興味深かった。独自のストーリーを伝えられれば、米国でも受け入れられる可能性は高い」と提案した。
4県訪問最終日の15日は、鹿児島市でカクテル市場の可能性を探るセミナーがある。