下関市から飛来した記録のあるアサギマダラ=薩摩川内市高江町(落次夫さん撮影)
羽に手書きの標識が記されたアサギマダラを、鹿児島県薩摩川内市宮内町の運送業落次夫さん(73)が同市高江町で見つけた。15日間で、約270キロ離れた山口県下関市から飛来していた。
鳥やチョウの撮影が趣味の落さんが7日午後1時ごろ、ツワブキの花に集まる4匹のうち1匹に発見した。鹿児島昆虫同好会の二町一成会長=いちき串木野市=を通じて確認し、10月23日に下関市豊浦町で記入されたことが判明した。
落さんが標識のあるチョウを見つけたのは3度目。今回は翌日には姿が見えなくなったといい、「南に向かったのだろう。元気に移動してほしい」と願った。
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鹿児島県霧島市国分重久で羽にマーキングされた「旅するチョウ」アサギマダラが見つかった。草水利親さん(70)の畑に飛来した。記入された文字から愛媛県西予市から約240キロを飛んできたことが分かり、草水さんは「貴重な一匹に出合えてうれしい」と興奮している。
アサギマダラは長距離移動するチョウで、羽に移動標識を書いてルートを調べる愛好家が全国にいる。草水さんが植えるアサギマダラの好物フジバカマの花には3年前から来るようになったが、標識のある個体は初めてという。
今年は10月23日から数匹が飛来。11月4日昼に訪れたオスの羽に手書きの文字を見つけ、撮影した。標識は「えひめ うわ 10/11-11」。鹿児島昆虫同好会の二町一成会長(68)=いちき串木野市=の照会で、記入したのは愛媛県の愛好家・三好健二さん(71)と判明した。
三好さんは10月11日、アサギマダラが好むヒヨドリバナが咲く西予市宇和町の林道近くで捕まえた。三好さんは11年調査を続け、例年は約1000匹に標識をつける。これまで台湾から再捕獲の情報もあったという。今年は暑さのせいか例年より飛来が少なく、約150匹しか記入できなかった。「愛媛県外からの発見報告は初めて」と喜んだ。
アサギマダラは草水さん宅のフジバカマの蜜を吸い、翌日以降は姿を現していない。草水さんは「元気に旅を続けてほしい」と話している。