国産の餌を牛に与える鹿屋農業高校の生徒=鹿屋市の同校
鹿児島県立鹿屋農業高校(鹿屋市)と南州農場グループの飼料会社南州エコプロジェクト(錦江町)、鹿児島大学がタッグを組み、国産飼料で育てた“純国産”の和牛や黒豚の生産実現へ向けたプロジェクトを始動させた。同社開発の国産トウモロコシや大麦、大豆などを使う飼料を同校の牛や豚に11月から試験的に与えており、来秋の初出荷を目指す。
肉用牛や豚を飼育するには通常、大量の穀物が必要となるが、日本では飼料原料の大半を輸入に頼っている。一方で、大隅地域では農家の高齢化により遊休農地や耕作放棄地が増えている。プロジェクトは、両課題を解決しつつ新たな付加価値を生み出す狙い。
同社が鹿屋、垂水、南大隅、錦江、肝付の2市3町の耕作放棄地などで育てた飼料用作物で濃厚飼料を製造し、同校の牛1頭に1年間で3.9トンを給餌する計画。豚8頭にも試験的に給餌する。鹿大共同獣医学部畜産学科は飼料設計や肉質検査で協力する。稲わらなどの粗飼料も国産を使用し最終的に一部添加物を除き、餌の95%以上を国産にして育てる予定だ。
同社は以前から、南州農場で出る堆肥の利用や耕作放棄地での飼料用作物生産に力を入れてきた。総務部の大野徹係長(27)は「耕畜連携の推進によって、持続可能な飼料生産体系を構築し、農家の安定経営や生産した肉の高付加価値化を目指したい」と語る。
同校3年の森元陽哉さんは「輸入飼料を使って育てた牛に負けない良い牛を作りたい」と意気込む。プロジェクトのクラウドファンディングを12月5日から始める予定。同社=0994(25)1129。