おせち商戦異状あり…人手足りない物流業界「2024年問題」追い打ち、正月前納品へ広がる予約受け付け前倒し 読めない年末年始状況、お歳暮など「余裕持って注文を」

2024/12/06 18:00
来年のおせちを吟味する客=鹿児島市の山形屋
来年のおせちを吟味する客=鹿児島市の山形屋
 トラック運転手の残業規制強化により物流が滞る「2024年問題」の影響で、鹿児島県内でお歳暮やおせち商戦に変化が生じている。物流業界は慢性的な人手不足で、年末年始はさらに人繰りも難しくなる。運送業や荷主らは混乱を招かないよう試行錯誤しながらも「確実に届けるためにも早めの予約を」と協力を呼びかける。

 年末に配送が集中する「おせち料理」では近年、予約の早期化が進む。城山ホテル鹿児島(鹿児島市)は9月1日から受け付けを始めた。24年問題を見据え、昨年からは冷凍しない「生おせち」は九州限定販売とした。小宇都貴文マーケティング部長(50)は「安心して正月を迎えてもらうため早め早めに対応している」。

 明和食品(同市)も昨年より半月ほど早い10月中旬に予約受け付けを始めた。鹿児島ならではのメニューで特色を出したところ、昨年は県外発送の割合が2割以上に増えた。今年はなじみの配送委託業者から「数百個単位は大きい配送センターへ納品を」と依頼があり、川邊篤史社長(37)は「どこも人手不足。本格的な準備はこれからだが、少しでも早く納品できるよう工夫していく」と話す。

 11月28日にお歳暮大ギフトセンターを開設した山形屋(同市)の山口政博食品統括部長(60)は「物流業者と密に連携しており影響は小さいと思う」。ただ、24年問題の初年度ということもあり影響は読めない。購入者には「従来より到着まで時間がかかる場合がある」と事前案内する。

 働き方改革による労働基準法改正により、4月からトラック運転手の時間外労働は年960時間が上限となった。運転手の労働環境の改善が期待される一方で、従来通り同じ荷物を同じ日時に送り届けるには人が足りない。県トラック協会の鳥部敏雄会長(68)は「臨時で人手を補うのが難しい業界。年末ならなおさら」と理解を求める。

 全国に物流網を持つヤマト運輸(東京)は、帰省などによる交通渋滞も考慮し、荷物の送り主に対し日数に余裕を持って送るよう依頼する。同社広報課の久米莞爾さん(30)は「幹線輸送や飛行機、フェリーの活用など、他企業とも連携しながら業界全体で輸送効率を向上させていきたい」と話した。

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