巨大草履に悪戦苦闘するる姉妹=南さつま市大浦町
鹿児島県南さつま市大浦町大木場地区の大山祇(おおやまづみ)神社で8日、無病息災を祈り、巨大な草履を奉納する「山神(やまんかん)祭り」があった。両足で重さ60キロ、直径2メートルの丸い大草履を地元の大湊乃美さん(51)、戸子田望美さん(49)姉妹が履くように引きずった。女性が担うのは少なくとも40年以上ぶりという。
大木場は平家の落人伝説が残っており、「巨人がいる」と思わせて追っ手を退散させるため、峠に10畳ほどの草履を置いたのが起源とされる。若手男性が長年担当しているが男性限定の決まりはなく、「時代に即し、今年は女性にお願いしよう」と自治会役員会が姉妹に白羽の矢を立てた。
本来は2人で鳥居手前から拝殿までの約30メートルを歩くしきたりだが、あまりにも重いため、補助役がつき手助けした。必死に運ぶ様子に観客も大声援。姉妹は「父が喜ぶだろうと思い引き受けた。かっこいいなと見続けてきた行事。皆さんの応援のおかげでやり遂げられうれしい」と笑顔。自治会長の大木勝彦さん(65)は「姉妹の活躍で盛り上がった。集落に活気を呼ぶ伝統行事を継承したい」と語った。