PTA活動について情報交換する各校の役員ら=7日、鹿児島市中央公民館
保護者と教職員でつくる任意団体PTAが岐路に立たされている。少子化で学校の統廃合が進み、学校単位のPTA数は右肩下がり。共働き世帯が主流となり、活動を負担に感じる保護者は少なくない。全国では上部団体を脱退する動きも広がる。鹿児島県内の現状を追った。(連載「岐路に立つPTA~鹿児島の現場から②」より)
「紙の総会資料をPDFデータだけにした」「実際に集まる会議とオンラインを使い分けている」-。7日、鹿児島市PTA連合会などが、市中央公民館で開いた研修会。各校の役員ら約130人がグループに分かれ、デジタル化や地域連携について情報交換した。
登壇した伊敷中PTAの生駒賢志会長(53)は、保護者の負担を減らすためPTA新聞の発行回数を減らしたり、バザーに代わって授業参観日に制服のリサイクル販売をしたりといった取り組みを報告。持続可能な組織へと、会員アンケートも行いながら手探りで改革を進める現状を伝えた。
時代に合わせた活動の見直しは必要と思うが、単なる削減にならないよう模索を続ける。「学校と保護者の関わりが希薄になってはいけない」からだ。研修会に参加することで、他校に学ぶことが多いという。
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同市PTA連合会では、情報モラルや特別支援教育といった、保護者のニーズが高い研修を頻繁に開く。高校のPTAも加入する特徴を生かし、進路選択に役立つ情報提供なども続ける。3年前からは顧問弁護士を雇って、会長らが相談できる体制を整えた。
運営を取り仕切る役員ははボランティアだ。「学校単位ではできないことをやるよう心がけている」と小田博智副会長(45)。上部団体の活動に参加する負担感などで連合会を抜けるPTAもある中、鍋島裕文会長(60)は「学校を越えて保護者がつながり学ぶ場として必要」と理解を求める。
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存在意義が問われる中、鹿児島県PTA連合会(県P連)の市囿豪会長(45)は、活動の実態が伝わりにくいことを自覚し「組織の価値を、より丁寧に示していかなければ」と危機感を強める。
各地から聞こえるのは、役員のなり手や活動費の不足など組織運営の悩み。「県外の取り組みや先進例を知っているのが県P連の強み。情報共有しながら、組織改革の道筋を提案する役割を果たしたい」と語る。
一方、日本PTA全国協議会(日P)を退会する団体が全国で相次ぐ背景には、組織運営への不信感もある。日Pは2022年度決算で約4700万円の赤字を計上。今年になって元役員が背任容疑で逮捕された。今月25日には運営体制が不適切だとして、内閣府から是正勧告を受けた。
鹿児島県内の中学校でPTA役員を務める男性(53)は訴える。「会員が無関心なほど、上部団体はやりやすい。日Pの不適切な問題に、もっと怒るべきだ」