【風邪のひき始めにお薦めのレシピ】左から時計回りに「ふわふわお餅がゆ」「サバ大根のみそ煮」「柿の白ごまあえ」
年末からインフルエンザが猛威を振るう。手洗い・うがいやマスク着用といった感染対策に加えて、日々の食事も体調管理に欠かせない。専門家に免疫機能を高める食材や、風邪のひき始めにお薦めのレシピを聞いた。
食品免疫機能分析学が専門の九州大学大学院の広瀬直人教授(59)は「ウイルスや細菌から体を守る免疫細胞は、7割が腸内にある」と説明する。そのため、腸内環境を整えることが免疫力アップにつながるという。
広瀬教授が勧めるのは、善玉菌の一つである乳酸菌を含む食べ物と、水溶性の食物繊維が豊富な海藻類、キノコ類。「腸の働きをよくする善玉菌と、そのエサになる水溶性の食物繊維を合わせて食べると効果的」と話す。
乳酸菌は、ヨーグルトといった乳製品だけでなく、キムチなどの漬物にも含まれる。モズクに多く含まれる「フコイダン」、キノコ類の「βグルカン」といった水溶性の食物繊維は熱に強い多糖類で、天ぷらやチヂミ、みそ汁など加熱しても摂取できる。特にフコイダンは免疫細胞に直接刺激を与え、活性化させることも分かっているという。
免疫機能を整えるには、タンパク質やミネラル、ビタミンも欠かせない。広瀬教授は「まずはバランスのよい食事を心がけて。適度な運動、入浴、質の良い睡眠、ストレスをためないことも大切」とアドバイスする。
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体調を崩した時の食事はどうすればいいだろう。鹿児島県栄養士会の管理栄養士、山下三香子さん(66)は「発熱やせきが続くと、代謝量が急激に上がってエネルギー消費が増える。しっかり栄養を取って」と呼びかける。季節の食材を使った簡単レシピを教えてもらった。
「ふわふわお餅がゆ」は、喉の通りがよく体を温める。正月に余った餅を利用すれば、米で作るよりも手軽にできる。発酵食品の塩こうじは日頃から継続的に取ることで腸内環境を整えられる。
「サバ大根のみそ煮」は缶詰とレンジで手軽にできる一品。サバ缶は、タンパク質、ビタミンB群・D、カルシウム、鉄など栄養素がたっぷり。大根はビタミンCやカリウム、食物繊維が豊かで消化を助ける。切って冷凍しておくと、味がしみやすくなるという。うまみを補うオイスターソースは、免疫システムを強化する亜鉛を多く含む。
「柿の白ごまあえ」の柿は、粘膜を乾燥から守り、菌の増殖を防ぐビタミンA、粘膜や血管を丈夫にするコラーゲンの生成に欠かせないビタミンCなどを豊富に含む。生で食べると、体を冷やす解熱効果もあるとされる。あえ衣とよく絡むように小さく切るのがポイントだ。善玉菌を増やすヨーグルトは豆乳ヨーグルトでも代用できる。
山下さんは「サバ缶やオイスターソースは常備しておくと助かる。手軽に栄養が取れるレシピを活用してもらえたら」と話す。
■ふわふわお餅がゆ(1人分)
【材料】餅1個、水300cc、卵1個、塩こうじ小さじ2分の1、小ネギ少々
【作り方】(1)餅を水に入れて、形が崩れるまで煮つめる。または電子レンジ(600ワット)で約5分加熱(2)溶いた卵をゆっくり流し入れ、トロっとしたら火から下ろし、塩こうじを加えてかき混ぜる(塩でも可)。
■サバ大根のみそ煮(2人分)
【材料】サバ缶1缶、大根150グラム、オイスターソース小さじ1、三つ葉2~3枚
【作り方】(1)大根を乱切りにする(2)サバ缶の汁と(1)とオイスターソースを耐熱容器に入れ、落としぶたの代わりにクッキングシートをかける。その上に小皿を置き、ラップをふわっとかけ、電子レンジ(600ワット)で10分加熱する(3)(2)にサバを加え、冷めるまで置く。
■柿の白ごまあえ(2人分)
【材料】柿2分の1個(干し柿でも可)、ヨーグルト40グラム、ねりごま(ごまペースト)大さじ3分の2、薄口しょうゆ小さじ3分の2
【作り方】(1)柿は好みの大きさに切る(2)ボールにヨーグルトとごま、しょうゆを入れてよくすり混ぜ、柿をあえる。