〈資料写真〉2024年4月29日、4年近く不通が続き雑草が覆い尽くす肥薩線の線路(手前)。すぐ先には吉松駅を出発したばかりの吉都線の列車が走っていた=湧水町
2020年7月の豪雨災害により、吉松(鹿児島県)-八代(熊本県)間で不通が続くJR肥薩線のうち、いまだ復旧のめどがついていない吉松-人吉間の通称「山線」について、沿線住民らが鉄路復活を願う思いを語り合うイベントが11日、熊本県人吉市であった。
八代-人吉間の通称「川線」については昨年4月、熊本県とJR九州が鉄路復旧で基本合意。イベントは、署名活動などで復旧を後押ししてきた住民団体「肥薩線again」が、山線復旧の機運も盛り上げたいと企画した。
沿線4駅の代表が現状報告。吉松駅前周辺まちづくり推進会議委員の山口正昭さん(82)は「山線が途絶えて年間5万人の交流人口が失われ、寂しくなった」と述べ、「10年以上かかるといわれている川線の復旧に先んじて山線を通し、交流人口を復活させたい」と訴えた。
南九州のローカル線振興に取り組む、民間関係者による事例紹介もあった。指宿枕崎線の利用促進に取り組む中原晋司さん(48)は「山線が復旧しないと、南九州全体の動線が途切れてしまう。ポテンシャルはあるので、ともに復活への道筋を考えたい」とエールを送っていた。