性犯罪などの不祥事が続き、組織改革に取り組む鹿児島県警で、14日明らかになったキャリア官僚の幹部、安部裕行警視(28)の不同意性交容疑での書類送検は県民に衝撃を与えた。「またか」「事実ならとんでもない話」。再発を防止できない組織に怒りの声が上がり、信頼回復は遠のいた。
「同意があったと勝手に思い込んでいたのではないか」と鹿児島市喜入町の元教員女性(63)は憤る。「自覚が足りないし、性犯罪の本質が分かっていない」と非難した。
鹿児島市の団体職員の女性(25)は「またか、と思ってしまう。これ以上鹿児島の名を汚さないでほしい」と話す。「性被害を受けた女性の心の傷は長く残る。そのことを知っているはずの警察官が危害を加えたのだとすれば許せない」と怒りをにじませた。
県警OBも失望を口にした。70代男性の元警察官は「不祥事で県警本部長が替わり、気を引き締めなければならないのに。信頼回復どころか、率先すべきキャリア官僚の幹部が書類送検され捜査対象となったのでは話にならない」と組織の立て直しがままならない現状を嘆いた。
県議会では、県警の不祥事を巡って調査特別委員会(百条委員会)設置を否決した経緯がある。設置を求めてきた県議からは改めて百条委の必要性を訴える声が上がった。
柳誠子県議は「県民が警察を見る目は厳しくなっている。捜査に協力してもらえなくなる可能性がある」と懸念。百条委設置を訴えるとともに「総務警察委員会での参考人招致も引き続き必要だ」と強調した。
岩重仁子県議は「再発防止に向けた課題を洗い出す意味でも、百条委設置の意義は高まった」。宇都恵子県議は「本来なら本部長が会見すべき案件ではないか」と情報公開に後ろ向きともとれる姿勢を批判した。