タンカンジュースや焼酎の搾りかすを混ぜて発酵させた餌を食べる縄文牛(リファインホールディングス提供)
東京の企業が鹿児島県の屋久島で、特産のタンカンの搾りかすなどをブレンドした餌で育てた和牛「縄文牛」をブランド化している。島内の未利用資源を活用した餌でお産の役目を終えた地元の経産牛を肥育し、島内限定で味わえる“ご当地和牛”。この度、屋久島高校と連携して新商品を作り、3月1日に販売会を開く。
企業は有機溶剤リサイクルのリファインホールディングス。全国で地域資源を生かして価値を高めたブランド食材を開発している。縄文杉を持続可能性のシンボルと捉え、2021年から屋久島で事業を始めた。
縄文牛は島内の繁殖農家から買い取った経産牛を島内で約6カ月肥育する。餌は廃棄されるタンカンジュースや焼酎の搾りかすを発酵させたオリジナル飼料。年間出荷頭数は24頭程度で、サシがほとんど入らない赤身肉ながら霜降り肉と遜色ない値段で販売する。島内の飲食店など13店が料理や加工品を展開している。
同社の食のリファイン推進室の牧野敬一室長は「各地の銘柄牛の多くは配合は違えど与える餌はほとんど同じ。縄文牛はタンカンを与えているからか脂にくどさがなく、爽やかな味わいが好評」と話す。
24年度は屋久島高校と連携し商品開発にも取り組んだ。生徒のアイデアを基に、薄くスライスした縄文牛を乾燥させた「カウっぷす」や焼き肉弁当、抱き枕の3種類を商品化。カウっぷす開発を担当した2年の日高功葵さんは「ジャーキーよりさっぱりしていてかむほどに味が出る。おやつやおつまみにもいいと思うので、多くの人に食べてほしい」と期待する。
販売開始に合わせて3月1日午前11時から、屋久島空港近くで生徒らが商品をPR販売する。同社は沖永良部島でも「きくらげ牛」の開発を進めている。