入札不調で事業費488億円に膨らんだ新体育館…年間赤字も2億4600万円へ拡大、基本構想時の2.7倍に 県が試算公表

2025/02/27 07:03
〈資料写真〉入札不調となったドルフィンポート跡地の鹿児島県新総合体育館事業予定地=2024年1月、本社チャーター機から撮影
〈資料写真〉入札不調となったドルフィンポート跡地の鹿児島県新総合体育館事業予定地=2024年1月、本社チャーター機から撮影
 鹿児島県の西正智観光・文化スポーツ部長は26日、488億円に膨らむとした新総合体育館事業の年間収支が、2億4600万円の赤字になるとの試算を明らかにした。基本構想の約2.7倍。2024年9月の入札を辞退した事業者への聞き取りを踏まえた。県議会代表質問で公明の森昭男議員(鹿児島市・鹿児島郡区)の質問に答えた。

 西部長は、事業者は一般的にリスクを抑えるために収入は過少に、支出は過大に見積もる傾向があると説明。「今後、(コンサートなどを企画する)プロモーターへのヒアリングに基づく客観的なデータなどで積算する」と答弁した。

 県は単年度の財政負担を軽減するため、民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法を取りやめ、個別発注する従来型手法へ転換する方針。事業費圧縮でメインアリーナを8000席以上から7000席に削減するほか、サブアリーナ、武道場や弓道場の客席も減らす考え。

 22年策定の基本構想では、8000人規模のコンサート開催を年間12回、国際会議などを年間14回想定。スポーツ利用と合わせた2億800万円の収入に対し支出は2億9700万円で、計8900万円の赤字だった。事業費を313億円に増額した時点は9800万円の赤字としていた。

 県スポーツ・コンベンションセンター整備課によると、客席減に伴い利用料収入が減る一方、従来型手法で個別発注すると支出が増える。収入と支出の具体額は「事業者から公表しないよう要望があり答えられない」とした。

 県は、20年度に実施した需要予測調査に続き、プロモーターに再度聞き取りを実施。客席を1000席削減しても、コンサートの開催回数や利用日数などへの影響は限定的で、基本構想と同程度を見込んでいる。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >