国道上にポツンと残るバス停、なぜ? 一部事業者が異議、国の移設勧告に従わず「法的に争う」 JR仙巌園駅前

2025/03/04 06:33
左折車線上に取り残されたバス停=3日、鹿児島市吉野町
左折車線上に取り残されたバス停=3日、鹿児島市吉野町
 鹿児島市吉野町の仙巌園前の国道10号整備で、国が県バス協会に、付近のバス停標識の移設を求める勧告書を出していたことが3日、分かった。国が昨年、事故対策を目的に車道を一部拡幅しバス停留スペース(バスベイ)を設けたが、鹿児島交通が一帯の渋滞対策の不備を理由に標識の移設に難色を示している。15日にはJR日豊線の「仙巌園駅」開業が控える中、現在も左折車線上にバス停が残ったままとなっている。

 国土交通省鹿児島国道事務所によると、勧告書は2月14日付。バス停標識は、工事に支障がある場合は動かす条件で国が許可していることから、3月14日までの移設を求めた。2月28日までだった回答期限は、同協会の意向で1週間延ばし現在返答待ち。

 国は2023年2月ごろから、移設に向け同協会や事業者と協議を始めたが、現在まで合意を得られず、バスベイの運用が見通せない状況となっている。同事務所は「左折車線上にバス停があり危険なほか、工事の効果が十分に発揮できない。24年度中の事業で一日でも早く移設してほしい」とする。

 一方、標識を所有する同協会は、移設は各バス事業者が判断すべきことと主張。「事業者の賛否が分かれており、現段階で結論は言えない」と説明している。

 鹿児島交通は新駅開業による渋滞悪化への懸念を移設しない理由に挙げ、「開業で渋滞が発生した際の対応を約束してもらえない限り、標識の移設にも協力できない。国とは法的に争う」と答えた。南国交通は「現在より安全性が向上する」として移設に賛成している。

 国は24年3月、国道10号仙巌園前付近の通行ルートを変更。同園前付近から旧集成館前までの200メートルに左折レーンを新設し、磯方面に向かう一方通行の市道は廃止した。

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