2024年度の漁解禁日に、シラスウナギを網ですくう採捕者=大崎町の菱田川河口
鹿児島県内の2024年度漁期のシラスウナギ(ニホンウナギの稚魚)採捕量が、25年1月末までに計1378キロに上ったことが4日、分かった。シーズン(12~翌3月)合計が1トンを超えるのは08年度以来。約2カ月間を残し過去10年で最多だった23年度(768キロ)を大きく上回り、豊漁となっている。
県水産振興課によると、採捕量は1974年度(3449キロ)をピークに右肩下がりで、2018年度は136キロと過去最低だった。24年度は昨年12月に224キロ、1月に1154キロと急伸した。中国や韓国、国内他産地もおおむね採捕量が多い傾向にある。
ウナギの生態や資源保護を研究する鹿児島大学水産学部の安樂和彦教授(56)は「海流の影響や産卵タイミングなど好条件が重なったのでは」と分析。独自に禁漁期間を設けるなど県が取り組む乱獲抑制も「要因の一つに、採捕管理をしてきた成果がある」と評価した。
一方で、県しらすうなぎ採捕取扱者協議会の皆倉貢会長(78)は「近年にない量が取れており、価格は下落している」と指摘する。豊漁を受け、取引価格の相場は1キロ当たり230万円から20万円弱まで落ち込み、漁をやめた採捕者もいるという。1月以降に取れたシラスウナギは翌年以降の夏場出荷となるため、「すぐに市場価格への反映はないだろう」と話した。
県内の漁は昨年12月1日解禁され、3月末の日の出まで。1215人が採捕許可を受ける。