鹿児島県の塩田康一知事は4日、兼業・副業に関するアンケートで、回答した職員約2600人の半数が兼業を希望したと明らかにした。県は昨年3月、職員の兼業許可の基準を明確化。就業先が営利企業・団体でも公益性の高い社会貢献活動であれば業種を問わず認めるようになり、本年度は農業関連に従事する3人の兼業を許可した。
県議会で本田静議員(自民、鹿児島市・鹿児島郡区)の一般質問に答えた。
人事課によると、兼業は休日を前提に週8時間または月30時間、勤務日は3時間を超えないことを目安とする。公益性の高い社会貢献活動には(1)不特定多数の利益に寄与すると認められる(2)地域の担い手不足解消につながり、地域の持続的な発展・活性化に寄与する-場合などが該当すると考え方を整理した。
3人は農家などで肉用牛の飼養管理、農作物の栽培管理、乗馬の受け付けに携わっている。部活動支援や大学の非常勤講師といった非営利団体での兼業はこれまでも認めており、本年度は34件を許可したという。
兼業を希望した職員は29歳以下の58%が最も多く、30代55%、40代47%と続いた。理由は「視野が広がる」「地域貢献できる」「スキルアップできる」が多かった。具体的な活動は、農林水産業や地域行事の企画運営、観光ガイド・観光通訳など。アンケートは昨年9月に知事部局職員を対象に実施。2578人が回答し、うち1247人が兼業・副業したいと答えた。回答率は53%。
塩田知事は職員の兼業について「能力を公務以外に役立てるだけでなく、公務執行能力の向上につながる非常に有意義なもの」と答弁。積極的な推進に向け、営利企業を含め許可した具体的な事例や体験談、他県の先行事例を職員へ周知する考えを示した。