学歴高いと結婚できない? 地方の女子の行く手阻む「二重の格差」、進学情報少なく経済負担も…都道府県版ジェンダーギャップ指数にもにじむ

2025/03/08 15:30
大学進学時の苦労を語る登壇者=2月20日、鹿児島市の宝山ホール
大学進学時の苦労を語る登壇者=2月20日、鹿児島市の宝山ホール
 地方の女子は、性別と地域の「二重の格差」を抱える-。8日公表された2025年の都道府県版ジェンダー・ギャップ指数で、鹿児島県の女性の四年制大学進学率は42.2%にとどまった。男性(47.8%)より5.6ポイント低く、東京の女性(77.1%)には30ポイント以上離された。こうした格差の解消に向けて、出身者らが経験を伝え、後輩の背中を押す取り組みが広がっている。

 2月下旬、鹿児島市であった高校生向け国際シンポジウム。進路座談会に登壇した県出身の20代女性2人が、大学進学時に直面した問題を振り返った。

 「女の子は学歴が高いと結婚できない」。同市出身の女性(26)は、県外への進学希望を伝えた際、両親にこう返されたという。学費の工面が困難だったほか、母親が県内の大学出身で「説得は勉強より大変だった」。成績優秀者が受けられる奨学金などを五つ掛け持ちすることで関西の私立大で学べた。

 地元奄美大島の島唄を研究する慶応大4年の女性(24)は、高校時代に受験する同級生が少なく「進学に関する情報が少なかった」と思い返す。都内の別の大学に進学後、慶応大に島唄をより専門的に学べる学部があると知り、入学し直した。「大人やネットの力も借りて、足りない環境を補う努力をしてみて」と勧めた。

 会場では、進路選択を控える約800人の生徒が聞き入り、登壇者への質問も相次いだ。主催した一般社団法人「Glocal Academy」の岡本尚也理事長は「地域、家庭の事情で進路に悩む高校生の道しるべになれば」と座談会の意図を語る。

 東京大学の学生団体「FairWind」は、地方と都市部の教育格差解消を目指し、2009年に設立された。鹿児島など全国各地から東大に進んだ175人が所属し、地方の高校生との交流の場を設け、役立つ情報を発信する。24年は、大島高(奄美市)や鹿児島純心女子高(鹿児島市)を含む延べ54校の3335人が、キャンパス見学や出張セミナーに参加した。

 高知県出身で、理科一類2年の垣内創太代表(21)は「地方出身者は可能性に気付きにくく、ライバルや情報も少ないといった多くの壁がある。後輩の助けとなり、背中を押したい」と語る。鶴丸高(鹿児島市)から理科二類に進んだ1年の男性(19)は、高校時代からFairWindのメルマガを参考にし、入学後は支える側になると決めた。「地方だからと負い目を感じず、貪欲になって」とエールを送った。

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