抹茶加工施設の新設を発表したJA鹿児島県経済連の柚木弘文会長(中央)ら=24日、鹿児島市のJA県会館
鹿児島県内のてん茶(抹茶の原料)の生産急増を受け、JA県経済連が抹茶加工施設を新設することが24日、分かった。JAグループ鹿児島で加工設備はあるものの専用工場は初めて。2028年度の稼働を予定し、処理能力は県内最大規模の年間150トン程度。原料供給基地から脱却し、かごしま茶の高付加価値化を目指す。同日あった会見で明らかにした。
25年度からの中期3カ年計画に盛り込んだ。27年度には1600トン規模のてん茶保管施設も整備。いずれも鹿児島市のかごしま茶流通センター(県茶市場)敷地内に設置し、県内JAや茶商からの委託加工を想定する。建設費用は合わせて35億円ほどの見込み。
海外の抹茶ブームの追い風を受け、県内では直近10年ほどでてん茶の生産が急増。23年度は1585トンで全国1位となった。一方で抹茶加工施設は県内に少なく、大半は静岡や京都など県外の工場で加工され、国内外へ販売されている。
JA県経済連の柚木弘文会長は「国内の消費者に鹿児島でひいた抹茶を届け、輸出拡大に向けた取り組みも進める。われわれがやらずに誰がやる、という思いだ」と述べた。
会見では、全国農業協同組合連合会(JA全農)を通じて政府備蓄米約2000トンを確保、2回目は約1000トンの確保を目指すことを報告。JA県経済連全体の取扱高目標を3580億円とする25年度事業計画などの説明もあった。