〈保育士が園児切り付け〉担任クラスでけが多発。急な休みも増えた…「日々の違和感、情報共有を」 第三者委、鹿児島市に報告書

2025/03/25 06:00
報告書を手渡す松元理恵子委員長=24日、鹿児島市役所
報告書を手渡す松元理恵子委員長=24日、鹿児島市役所
 鹿児島市の認定こども園で昨年6月、保育士が男児の首を切り付けたとして殺人未遂容疑で逮捕、起訴された事件を受け、市が独自に設置した第三者委員会は24日、報告書を提出した。事件発生以前に園児のけがの急増など通常とは異なる状況があったと指摘し、「日々の保育の中での違和感について情報を共有し、原因を究明する必要がある」などと提言した。

 報告書によると、園ではけがなどの発生について記録をつけているが、当該保育士が担任する被害男児のクラスでは事件前の約2カ月で計22件あった。他のクラスは平均約3件。多発する状況にもかかわらず、発生防止や原因分析の取り組みがなかったと指摘した。

 また当該保育士は4月以降、急な休みが増え、遅刻や早退など変化が見られたが、園側が本人の心身の状態を十分に把握できていなかった可能性も言及した。

 再発防止に向け、新規採用職員へのフォロー体制強化やメンタルヘルスケアの充実、保護者との情報共有など八つの提言をした。市に対しては、園内カメラ設置の助成制度の新設や公認心理師・臨床心理士の訪問相談体制の構築を求める。

 報告書はA4判15ページ。市役所で松元理恵子委員長(鹿児島女子短期大学副学長)が、下鶴隆央市長に手渡した。下鶴市長は「子どもたちの安全を確保できるよう、提言を踏まえさらに取り組んでいく」と述べた。

 第三者委は昨年9月に設置、保育関係者や弁護士など5人が委員を務める。市が園に行った指導監査の結果などを基に5回の協議を重ねた。

 報告書や起訴状によると、当時勤務していた保育士の女(21)が24年6月7日、園内で2歳男児の右首をカッターナイフで切り付け殺害しようとし、約1カ月の傷を負わせた殺人未遂容疑で逮捕、起訴された。別の1歳女児の鼻を打ち付け約1週間のけがを負わせた傷害容疑でも逮捕、起訴されている。

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