傷みの激しい枕崎神社を心配そうに眺める奉賛会の関係者ら=枕崎市山手町
鹿児島県枕崎市山手町の枕崎神社は地名の由来とされる伝説もあり、市民に親しまれている。市街地を見渡す高台にコンクリート造りのやしろがあるが、実は終戦直後の台風で本殿が倒壊した後の仮宮。それから80年、老朽化が激しく、地元有志らが再建に向けた取り組みを進めている。
枕崎市誌によると、1604年に地元の豪商が小さな金仏を本尊とする宮を海岸近くに創建し、明治になって枕崎神社と改称した。地名については、昔、箱枕に入った金仏が流れ着き、大切に祭ると豊漁になったことから、この地を「枕崎」と呼ぶようになったという説がある。
神社は、何度か暴風によって倒壊し移転。第2次世界大戦中に現在地で移転新築工事が始まったが、未完のまま終戦を迎え、台風が追い打ちをかけた。
戦後も仮宮のまま残り、六月灯では多くの市民でにぎわう。ただ、1963年に境内に市戦没者慰霊塔が建てられ、88年には隣接地に南溟館ができ、現在は埋没感は否めない。加えて傷みも激しいため、周辺の自治会を中心に社殿造営奉賛会を結成し、寄付金の募集を始めた。目標は1000万円で、年内に着工し来年の六月灯での披露を目指す。
奉賛会事務局の福元悦人さん(75)は「仮宮のままであることを地元ではずっと気にかけていた。見晴らしのいい場所なので、街のシンボルとなるだろう。多くの人に協力してほしい」と話している。