観光客でにぎわう霧島温泉市場=5日、霧島市牧園町高千穂
鹿児島、宮崎両県にまたがる霧島連山・新燃岳の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げられ、5日で1週間となった。2日には警戒範囲が火口の半径4キロから3キロに縮小され通行可能となったルートに登山客も戻ってきた。火口から6キロ離れた麓の温泉地もにぎわいを見せており関係者は早期沈静化を願う。ただ鹿児島地方気象台は火山性地震が続いているとし、引き続き警戒を呼びかけている。
霧島市の高千穂河原ビジターセンターには同日、登山客の車が20台ほど止まっていた。規制解除された高千穂河原-高千穂峰を登った宇都宮市の無職藤田幸夫さん(74)は「山頂付近は風と霧がすごかったが楽しめた」と笑顔を見せた。
高千穂河原周辺からは中岳探勝路と鹿ケ原の立ち入り禁止が続く。自然公園財団高千穂河原支部によると、周遊バスが一部区間で運休となり、客足は例年より鈍い。ミヤマキリシマのシーズンを前に、鹿ケ原以外の観賞ルートとして、別の登山道の補修整備を検討する。川野利光所長(64)は「通行できる登山道を周知し、満足してもらえる体制を整えたい」と話す。
気象台によると、火山性地震は3月29日の251回がピーク。1、2日は観測されず、活発化する兆候はないとして、警戒範囲を3キロに縮小した。その後、地震は4日に61回、5日は午後4時までに82回と再び増加しており、「火口からおおむね3キロで大きな噴石の飛散、2キロで火砕流を警戒してほしい」と呼びかける。
霧島温泉郷を中心とした旅館・ホテル12施設で組織する霧島温泉旅館協会によると、問い合わせはあったが、今のところ予約キャンセルはない。同協会の吉海修二会長(62)は風評被害や長期化を懸念。「営業はどこも平常通り。早く警戒レベルが下がってくれれば」と願った。