客からの問い合わせに対応する行員=7日、鹿児島市の三井住友信託銀行鹿児島支店
トランプ米大統領による輸入自動車への追加関税や「相互関税」の発表以降、日経平均株価の急落が続いている。史上3番目の下げ幅を記録した7日、鹿児島県内の上場企業は軒並み今年最安値を記録した。投資家からは「がっかり」「今が買い時」とさまざまな反応が見られ、金融機関には顧客からの問い合わせが相次いだ。
三井住友信託銀行鹿児島支店(鹿児島市)では4月に入り、今後の動きや資産状況を心配する投資家からの相談が約3倍に増えた。鹿児島市に支店を持つ九州FG証券(熊本市)も同様で、担当者は「冷静に、長期的な目線で判断してもらうよう対応している」。顧客向けに急きょオンラインセミナーの開催を決めた。
鹿児島市の主婦(55)は、トランプ米政権による「関税ショック」は一時的と見て、相互関税が発表された3日以降、続けて投資信託を購入した。しかし週が明けた7日は大幅続落。「すぐに戻ると思っていたのに、さらに落ちてがっかり。しばらくは様子を見るしかない」
新たな少額投資非課税制度(NISA)開始で個人の投資も増えている。霧島市の自営業男性(48)はここ数日間で、運用益がマイナスに落ち込んだ。「少額だから打撃は少ない。2、3年かけて元に戻ればいいので、株価が下がっている今のうちに追加で買うつもり」とプラスに捉える。
県内に本社か本店があり、東京証券取引所か福岡証券取引所に上場している12社中10社が一時、今年最安値を更新した。半導体製造装置部品を加工するマルマエ(出水市)の担当者は「追加関税による直接的な影響は少ないものの、株価は動きが読めず心配。早く戻ってくれればいいが」と気をもむ。
鹿児島市のファイナンシャルプランナー小野祥子さん(55)は「株は値動きがあるもの。右往左往せずに、中長期的な運用とリスク分散という基本を意識してほしい」とアドバイスした。