協議の場であいさつする水俣病被害市民の会の山下善寛代表=9日午後1時半ごろ、熊本県水俣市
環境省は9日、浅尾慶一郎環境相が5月1日に熊本県水俣市である水俣病犠牲者慰霊式に合わせ、前日の30日午後と1日に、現地で被害者団体と懇談する方針を明らかにした。昨年の懇談では、持ち時間を超えた被害者団体の発言中に環境省がマイクの音声を切り問題となった。1日1時間足らずから、計2日間に日程を増やし、「発言を遮るようなことはしない」としている。
慰霊式前の現地訪問と懇談を求めていた水俣病被害者・支援者連絡会と環境省が9日、水俣市で協議し日程に合意した。懇談は国と熊本県の共催で、5月1日は慰霊式の前後に開く。参加者や時間など詳細は今後詰める。
懇談は例年、慰霊式直後に年1回あり、少なくとも2017年から1団体あたりの発言時間が3分に制限されていた。昨年5月に水俣市であった伊藤信太郎前環境相と患者・被害者団体との懇談では、持ち時間を超過したとして、団体側の発言中に環境省の職員がマイクの音を数回切った。伊藤前環境相は水俣市を再訪問して謝罪し、被害者らと計3日間再懇談した。
環境省の前田光哉環境保健部長は「昨年の反省をもとに、患者、被害者の方々に丁寧に耳を傾ける場としたい」。同会の山下善寛代表代行(84)は「十分でないが、3分に比べれば一歩前進。これが当たり前の形だ」と話した。
同省によると、昨年の懇談に参加した水俣病患者連合と長島町の水俣病被害者獅子島の会とも別に調整中で、両団体とも今回の日程で懇談できないか協議している。