三間続きの和室、鳳凰の欄間…大正建築の粋が随所に 国の有形文化財「市来大迫家住宅」が初の一般公開 鹿児島・いちき串木野

2025/04/12 17:00
玄関から三間続きになっている和室=いちき串木野市湊町3丁目
玄関から三間続きになっている和室=いちき串木野市湊町3丁目
 鹿児島県いちき串木野市湊町3丁目の国登録有形文化財「市来大迫家住宅」が12日から初めて一般公開される。100年超の歴史があり、大正や昭和の暮らしを垣間見ることができる。隣接地にはカフェも開業する。

 1916(大正5)年に建てられた木造平屋(329平方メートル)。玄関奥に三間続きの和室、その北側には以前洋室だった和室などがある。玄関のタイル張りの床や鳳凰(ほうおう)などが施された欄間が目を引く。

 41年には明治天皇の孫の竹田恒徳氏が宿泊。当時の様子を伝える資料も展示している。庭園では戦時中に機銃掃射を受けた氏神を祭るほこらや、樹齢百年を超す藤棚を見ることができる。

 住宅は大迫玲さん(99)=いちき串木野市=が所有し、次男大一郎さん(72)=同市=が管理する。2017年、大一郎さんの協力を受け、市教育委員会が文化財に申請。母屋と土蔵の瓦を交換したり、昭和風に改装された部屋を大正風に直したりし、18年に市で初めて国の登録有形文化財に指定された。

 大一郎さんは「大正の暮らしを知り、古いものを残す意味を考えるきっかけになれば。若い人にも足を運んでほしい」と話す。庭の蔵は大迫家由来の品を展示しようと準備中。隣接地には12日、姉の相良正子さん(80)がミュージアムカフェ「舟」を開く。戦前まで網元だった大迫家の歴史にちなみ薩摩型和船が展示され、県産レモンを使った菓子や飲み物も楽しめる。

 住宅公開は午前10時半~正午と午後1~4時。見学料700円。事前予約が望ましい。大一郎さん=0996(36)2003=らが案内することもある。カフェ営業は午前10時半~午後4時半(最終オーダー4時)。ともに火曜(祝日の場合翌日)休み。

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