横山少佐の遺品について家族と話す、おいの横山正照さん(奥中央)=12日、鹿児島市の黎明館
真珠湾攻撃の特殊潜航艇で戦死し、戦時中「軍神」として英雄視された横山正治少佐(鹿児島市出身)の親族が12日、同市の黎明館を訪れ、展示中の横山少佐の遺品と改めて対面した。おいの横山正照さん(81)=同市=は「未来ある子どものためにも戦争はあってはならない。国威発揚に使われた叔父のようなヒーローは不要だ」と平和の大切さを訴えた。
正照さんは、横山少佐の兄正利さんの息子で、家族5人と訪れた。出撃前の決意を書いたとされるノートや家族写真、死後同郷の同僚が少佐の母親にあてた手紙などに、学芸員の解説を聞きながら見入った。
戦死後、横山少佐の実家には「軍神」と書かれた表札が掲げられ、家の前を人が通るたび最敬礼したという。「祖母(少佐の母)は見苦しくないよう、真夏でも外出用の正装だったと聞いた」と正照さん。「同じ過ちを繰り返さないためにも、多くの人に遺品を見てほしい」と話した。
遺品と当時の教材計5点は1983(昭和58)年、正照さんが黎明館に寄託し、戦後80年に合わせた今回が初公開となる。展示にあたり、同館が正照さんに観覧を呼びかけた。展示は6月1日まで。