〈資料写真〉脇本海岸近くの海底で確認された紫電改の残骸(肥本英輔さんのブログから転載)
太平洋戦争末期、鹿児島県阿久根市の脇本海岸付近に沈んだ戦闘機「紫電改」の潜水調査が18日、現地で始まった。出水地域の住民有志でつくる「紫電改・林大尉機を引き揚げる会」の呼びかけに応じて水中カメラマンら5人が海底に潜り、機体のそばで両翼や機銃とみられる残骸を確認した。
調査は水中文化遺産カメラマンの山本遊児さん(福岡県那珂川市)を中心に実施した。目視やドローンで機体の位置を確認後、ダイバーらが次々と海に潜り、機体の状況を確認したり、記録写真を撮影したりした。山本さんらによると、翼のような物体は機体の両側にあり、左翼のみに機銃らしき物体が残っていた。
調査は19日まで続く。山本さんは「比較的きちんとした形で残っている。紫電改は貴重な遺産。少しでも明らかになればいい」と話した。作業を見守った同会の肥本英輔会長(70)=出水市=は「翼などはないと思っていたから感無量。保存や引き揚げに向け、しっかりと活動していきたい」と決意を新たにした。
紫電改は林喜重大尉(神奈川県出身、死後少佐に昇進)が搭乗し、1945(昭和20)年4月21日に米B29編隊と交戦後、阿久根市折口の脇本海岸付近に不時着。林大尉は戦死した。海底に沈んだ機体を引き揚げて保存しようと、同会が2024年4月に調査を始めた。