鹿児島県弁護士会長に就任した白鳥努さん
■「かお」 鹿児島県弁護士会長に就任した白鳥努さん
弁護士バッジを身に着けて28年になる。母校・鶴丸高校の校是「FOR OTHERS=他人のために」は、今も弁護士活動を支える好きな言葉だ。
4月に県弁護士会長に就任した。特に力を入れたいのは、被害が増え続けるうそ電話詐欺の未然防止だという。助けを求める大半は高齢者で、勝訴してもお金を取り戻せないケースが多い。「被害者と向き合う仕事だからこそ救いたい気持ちは強い。警察やメディアと連携し、犯罪者に根負けしない運動を展開する」
弁護士を志したのは、慶応大法学部を卒業してからだった。六本木のスナックでウエーターをしていた時、一緒に働いた俳優の故・阿藤快さんからの一言がきっかけになった。夢を法曹から役者に見いだした阿藤さんに将来を問われ、「漠然としている」と打ち明けると、「お前は司法試験を頑張れ」と言われた。今思えば、「同じ道を志した“先輩”としてのエールだったのかもしれない」。
30歳から都内の出版社に勤めたが、阿藤さんの言葉を忘れられず、4年後に退社。一念発起して司法試験の予備校でアルバイトしながら勉強し、39歳で合格した。東京で弁護士登録し数年働いた後、鹿児島市に戻り知人の事務所へ。2005年に独立した。「振り返る暇もないほど必死な日々だった」と笑う。
学生時代、ライブをイギリスまで見に行くほどローリング・ストーンズにはまった。鹿児島市で妻と暮らす71歳。