樹楽=1日、姶良市加治木町木田
駅弁の製造販売を手がける「樹楽」(姶良市)が近く、鹿児島地裁に破産手続き開始を申し立てることが1日、分かった。負債総額は約1億円の見込み。3月末で事業を停止し、パート社員6人は全員解雇した。
東京商工リサーチ鹿児島支店などによると、樹楽は2008年設立。桜島の火山灰を使って食材のうま味を引き出す製法で、12年に「桜島灰干し弁当」を発売した。鹿児島市のJR鹿児島中央駅で売り上げ1位となり、15年には九州駅弁グランプリで準優勝を獲得。同年8月期には売上高4634万円を計上していた。
一方で、新型コロナウイルス禍で売り上げは3分の1にまで落ち込み、人件費や材料費の上昇が経営を圧迫。24年以降は、コメの仕入価格が10キロ3000円から1万円に高騰したことが追い打ちをかけ、収益の確保が困難になっていた。
債権者は金融機関が中心の5件。梛木春幸社長(55)は「駅弁という商品の特性上、価格転嫁も難しく、自社努力ではどうにもならない部分が大きかった」と話した。