憲法改正の議論を聞く改憲派の集会=3日、鹿児島市
78回目の憲法記念日となった3日、改憲、護憲を訴える集会が鹿児島市のカクイックス交流センター(かごしま県民交流センター)でそれぞれあった。石破茂首相が優先的に取り組むとする憲法への自衛隊明記について、改憲派は「自衛隊員の士気が上がる」と歓迎。護憲派は「徴兵制の根拠となり、将来に禍根を残す」と懸念を強めた。
美しい日本の憲法をつくる鹿児島県民の会は「公開憲法フォーラム」を開き、約250人が参加した。鹿屋で群司令を務めた後、沖縄、青森で部隊を率いた元海将補の中村敏弘さん(59)が鹿児島県を取り巻く安全保障環境を解説。憲法への自衛隊明記について「隊員の士気が向上し、抑止力につながる」と述べた。
沖縄県石垣市の中山義隆市長も登壇。台湾有事を念頭に本土へ島民が避難する計画に触れ、「現在は市民を島外避難させる強制力がない」とし、有事の際に政府の権限を強化する緊急事態条項の創設を訴えた。
県護憲平和フォーラムの集会では日米地位協定をテーマに2人が講演した。名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法学)は「地位協定の運用が憲法より優先され、米兵の犯罪の温床になっている」と指摘。自衛隊明記に関し「明記すれば憲法上の組織となり、将来的に徴兵制の根拠となる。私たちの世代が止めなければならない」と呼びかけた。
豪州出身の人権活動家キャサリン・ジェーン・フィッシャーさんは、米兵からの性暴力被害を訴えてきた。「これだけ被害が多ければ、豪州なら首相が代わっている。日本の法律を順守するよう地位協定を変えなければならない」と訴えた。
生協コープかごしまなど護憲7団体の集会では、フォトジャーナリスト安田菜津紀さんが講演した。シリアやパレスチナ自治区ガザ地区での取材体験を語り、「憲法前文には、全世界の国民が平和のうちに生存する権利が書いてある。それぞれができることをやれば、人権や人道がベースになる社会を築ける」と話した。
400人が来場し、伊集院高校演劇部の創作劇や戦争体験の朗読もあった。