映画「教皇選挙」などの観客で混み合うフロア=4月27日、鹿児島市東千石町の天文館シネマパラダイス
新ローマ教皇に米国出身のレオ14世が選出された。世界各地で紛争が絶えない中、鹿児島県民や各地の被爆者からは対話による和平の構築や分断の修復に向けた新教皇の発言・影響力に期待が高まっている。
「平和は皆さんと共に」-。カトリック鹿児島司教区の中野裕明司教(74)は、バルコニーに現れたレオ14世の第一声に着目した。「この言葉に新教皇の方向性が表れている。世界が求めている人が選ばれた」と話す。「分断が進みがちな現代社会で、調和をもたらすための『橋を架ける』ことも期待したい」
霧島市の北島みゆきさん(63)は広島市出身。10歳で被爆した父親から原爆の恐ろしさを聞いて育った。「二度と核兵器が使われないよう尽力し、前教皇のように広島や長崎に足を運んで、平和の重要性を世界にアピールしてほしい」と願う。世界各地で紛争が絶えない現状に「互いを理解しようとする姿勢が大事。差別や戦争はやめるべきだと粘り強く発信し続けて」と求めた。
ロシアによる侵攻の戦禍を逃れ、鹿児島県内に身を寄せるウクライナ人らを支援する県フードバンクセンター(鹿児島市)の村上光信理事長(74)は、初の米国出身の教皇であることに注目する。「トランプ米大統領も教皇の言葉には耳を傾けるのでは。分断ではなく協力して、混迷する世界に平和をつくり出すメッセージを発信してほしい」と話す。
鹿児島市の「戦争を語り継ぐ集い」の世話人、山下春美さん(57)は、「戦争は飢餓や貧困など被害の連鎖を生み、体験者は終戦後もトラウマ(心的外傷)を抱える。戦争を止めることに力を尽くし、核なき世界を目指してほしい」と訴えた。