「航路存続へ断腸の思い」――船員が足りない。奄美海運が週4に減便へ 唯一の定期船・喜界町は農産物出荷や島外通院を懸念

2025/05/13 06:33
奄美海運が6月からの減便を検討する「フェリーあまみ」=12日、鹿児島市与次郎1丁目
奄美海運が6月からの減便を検討する「フェリーあまみ」=12日、鹿児島市与次郎1丁目
 奄美航路の奄美海運(鹿児島市)が6月1日以降、船員不足により現在の週5便から4便へ減便する方向で検討していることが12日、分かった。知名町への寄港も休止する方針。寄港先の自治体へ5月上旬に連絡し、同社が唯一の定期船となる喜界町では説明会を開いた。同社は「非常に心苦しく断腸の思いだが、航路継続のためご理解いただきたい」としている。

 同航路は、「フェリーあまみ」(鹿児島-徳之島・平土野)と「フェリーきかい」(鹿児島-知名)の2隻体制で、平日は毎日運航する。同社の計画では、週3便の「あまみ」を2便に減らす。「きかい」は週2便のままだが、知名町寄港は現地で委託する荷役作業員不足に伴い取りやめる。

 奄美海運によると、今年2、3月に船員の退職が相次いだ。現在は週5便体制を維持できる人数から8人不足しており、船員の休みが取りづらい状況が続いている。同航路は国庫補助の対象で今後、県や寄港自治体、事業者などで構成する協議会を開き、減便などについて議論される見通し。

 喜界町での説明会は今月7日、役場であり、奄美海運の本坊隆幸社長らが出席した。参加した約200人の島民からは、農産物の出荷や島外通院への影響、さらなる減便を心配する声のほか、減便直前になってからの説明会開催に不満の意見も上がった。

 パッションフルーツやメロンを栽培する農業男性(39)は「住民の生活や暮らしに直結する航路で、なぜ見直し前に相談してくれなかったのか疑問。突然言われても対策のしようがない。減便以外の解決策がないのか模索してほしい」と話した。

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