JR仙巌園駅前の国道10号改良工事で設けられたバスベイ(停留スペース)と国道上に残るバス停標識=鹿児島市吉野町
鹿児島市吉野町の仙巌園前のバス停標識の移設を国が県バス協会に求めている問題で、バス停を使う鹿児島交通(同市)が、同市や国にJR仙巌園駅開設とそれに伴う道路工事でバス事業を妨害しないよう求める仮処分を鹿児島地裁に申し立てたことが19日分かった。同社はこれまで渋滞悪化などを理由に移設に応じない意向を示している。
同社や代理人によると、申し立ては同駅開業前の3月14日付。国道10号と市道の改良工事により、付近の道路が恒常的に渋滞が著しく悪化することになり、多額の売上喪失や顧客離れなど、重大な損害を被ると主張している。
バス停移設を巡っては、国土交通省鹿児島国道事務所がこれまで移設勧告を3回出した。県バス協会はバス停を利用する同社と南国交通の賛否が分かれているとして承諾していない。南国交通は安全性が確保されるとして賛成している。
仙巌園前付近の国道10号は2024年3月に通行ルートを変更。同園前付近から旧集成館前までの約200メートルに左折レーンを新設し、磯方面に向かう一方通行の市道は廃止した。それに伴い、事故対策を目的に車道を一部拡幅しバス停留スペース(バスベイ)を設けたが、以前のバス停が移設されずに残る形となっている。
市道跡にはJR仙巌園駅が建設され、25年3月15日に開業した。