〈資料写真〉鹿児島地裁の法廷
銀行役員を装い女性3人から現金約6000万円をだまし取り、うち2人にけがを負わせたとして、詐欺と傷害の罪に問われた本籍鹿児島市、住所不定、無職の男(57)の第2回公判が28日、鹿児島地裁(川口洋平裁判官)であった。弁護人は、女性1人から800万円をだまし取った事実と暴行の事実については否認した。
検察側の冒頭陳述によると、被告はだまし取った金を趣味のカーレースやクレジットカードの支払いに充てた。弁護側は、800万円をだまし取った起訴事実は、被告が交際相手を通じ別の女性に預金を促しただけで詐欺には当たらないと主張。女性2人への暴行は「事実ではない」とした。
起訴状などによると、被告は2017年11月から22年3月までの間、銀行役員になりすまし、交際していた女性2人と別の女性1人に「役員の家族が使える特別な預金がある」などとうそを言い、19回にわたり現金計約6000万円を詐取。22年8月、金の返済について話し合っていた女性2人に突き飛ばすなど暴行を加えけがを負わせたとされる。
事件を巡っては、女性1人から詐欺被害を相談された鹿児島南署が「直ちに詐欺と判断できない」と処理し、県公安委員会から指導を受けた経緯がある。