グレーターベイ航空の旅客機=徳島空港(徳島県提供)
香港から日本の地方空港を結ぶ路線が相次いで減便となっている。交流サイト(SNS)で広がる「7月に日本で地震が起きる」とのうわさが要因と指摘する旅行業界の関係者はいるが、香港からの訪日客数は増加傾向が続く。路線増による競争の激化や円高といった複数の要因が関係している可能性がある。
香港路線減便の動きは、鹿児島県内の観光関係者も気にかける。鹿児島空港(霧島市)発着で週4往復する香港航空は6月、全18往復のうち半分近い8往復の欠航が既に決まっている。地震のうわさとの関係は「分からない」と口をそろえるものの、影響が長引かないか不安を募らせる。
県などによると、2024年度速報値の鹿児島空港国際線利用者は18万9354人で、うち香港航空は4万3425人と2割強を占める。25年4月の搭乗率は67%と前年同月比6ポイント減にとどまるが、同社関係者は「5月はもっと落ち込んでいる。円高や地震のうわさはあるが、要因は分からない」と困り果てていた。
県内の宿泊事業者は、訪日旅行控えを肌で感じている。シェラトン鹿児島(鹿児島市)では、5月に入り、香港の大手ツアー会社による団体旅行が5件中4件キャンセルとなった。広報の井上友さん(30)は「『地震』が関係ないとも言い切れない」と分析する。
城山ホテル鹿児島(同市)の担当者も、香港の旅行代理店から「中華圏は風水を信じる人が多く、メディアの影響は大きい」と説明を受けた。昨年と比べ鈍いと思っていた予約件数は徐々に伸びつつあるとはいえ、懸念は拭えていない。
一方で、鹿児島サンロイヤルホテル(同市)は、ツアーの予約状況はほぼ例年通り。南英樹宿泊営業部長(54)は「現地で地震のうわさは話題になったが、若い層はあまり気にしていないとも聞く」。当面は静観する構えという。