備蓄米の入荷待ちを知らせる案内=5日、鹿児島市のドラッグストアコスモス与次郎店
随意契約により放出された政府備蓄米が、首都圏や九州北部の大手小売店などで並び始めた。鹿児島県内のスーパーでも入荷予定はあるものの、5日現在で「いつから販売できるか分からない」という店舗が多い。離島や中小スーパーでは精米施設や倉庫確保の手間に加え、輸送距離といった「地域間格差」が課題となっている。
5日夕、鹿児島市のドラッグストアコスモス与次郎店のコメ売り場には「(備蓄米の)入荷日は現在未定です」と案内が掲示されていた。運営するコスモス薬品(福岡市)は2022年産2万トンを契約し、九州北部の店舗では4日に発売した。ただ、同社の担当者は「鹿児島県のスケジュールは決まっていない」。
全国展開する大手コンビニでも販売時期は異なる。ファミリーマートとローソンは5日、東京と大阪の一部店舗で1、2キロの小分けパックの販売を始めた。南九州ファミリーマート(鹿児島市)によると、県内は6月下旬で調整中。ローソンの担当者は「14日から鹿児島を含む全国で2キロ756円を販売する」と話す。
県内15社を含む全国の中小スーパーで構成するシジシージャパン(東京)は5000トンを確保した。加盟するなりざわ(鹿児島市)は、取引のある精米業者と連携し5日からの販売を見込んでいたが、発送予定日などの連絡はまだない。成沢洋社長は「加盟社の中で何番目に待っているのかも分からない」と苦笑いする。
シジシー系列で主に離島加盟店を受け持つシージーシー南九州センター(鹿児島市)の担当者は「12日に玄米は入荷予定」と明かす。精米作業が順調に進めば、スーパー・タイヘイ(南さつま市)系列では翌13日には店頭に並ぶ可能性がある。離島は船便のため県本土よりは遅れるという。
「離島は後回しになるのでは」と気をもむのは、徳之島町のスーパー「ダイマル」の平隆行店長。価格は本土と同じ2000円前後を見込むものの入荷時期は未定だ。「徳之島は大家族が多く、経済負担が大きい。全国と比べ平均年収が低い離島の現状も考慮してほしい」と早期入荷を切望した。