会見する鹿児島大学の石塚賢治教授(右から2人目)ら研究メンバー=6日、鹿児島市の鹿児島大学病院
鹿児島大学血液・膠原(こうげん)病内科学分野の石塚賢治教授らの研究グループは6日、高齢者の成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)で新たな治療法を確立したと発表した。名古屋市立大や九州がんセンターなどとの共同研究。米医学誌に5月15日付で解析論文が掲載された。
ATLは難治性の血液のがん。鹿児島など九州に多く、原因ウイルスに母乳や性行為で感染し、長い潜伏期間を経て約5%が発症する。体力のある若い人には骨髄移植が一般的だが、高齢患者には移植ができず治療法の開発が課題だった。
研究では、悪性リンパ腫の標準治療「CHOP療法」と、ATLに対する抗体薬「モガムリズマブ」を併用し、67~86歳のATL患者に試験。1年間病状の進行・再発がない状態を示す生存割合や生存期間が、過去に22~69歳を対象に実施したCHOP療法の治療成績を上回った。
新たな治療法は医療保険が適用され、希望者は医師と相談し治療できる。
6日、鹿児島市で会見した石塚教授は「高齢化する患者への前向きな治療法。今後も治療成績の向上のために臨床試験をし、世界に発信していきたい」と語った。