大雨の影響で斜面から流れ出した土砂=9日、指宿市山川福元
梅雨前線の北上に伴い、九州南部は9日、各地で大雨となった。指宿市では1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降り、降り始めからの雨量が400ミリを超えた。県内は大気の状態が非常に不安定となり、10日夕にかけて局地的に雷を伴う大雨となる恐れがある。鹿児島地方気象台は、土砂災害に厳重に警戒するよう呼びかけている。
8日午前0時の降り始めから9日午後10時までの雨量は、指宿市435ミリ、肝付町前田382ミリ、同町内之浦321.5ミリ、鹿屋市寿304.5ミリ、鹿児島市220.5ミリなど。
鹿屋市、肝付町は9日夜、避難指示を出した。県は指宿、鹿屋、肝付、東串良、錦江、南大隅の2市4町に土砂災害警戒情報を発表。夜に災害警戒本部を設置した。本部によると、午後10時時点でけが人の情報はない。
指宿市山川では午後0時50分ごろ、市営砂むし温泉「砂湯里」近くで斜面が崩れ、止まっていた車が押し流されて破損するなどの被害があった。近くを運転中だった市観光施設管理課の井手康博主査(37)は「100メートルほど先で突然、斜面が音を立てて崩れた。巻き込まれていたかもしれないと思うと怖い」と話した。同温泉は災害を受け、臨時休業した。
県などによると、鹿児島市中山町、南九州市頴娃町御領、阿久根市西目でも崖崩れがあった。
気象台によると、前線は10日にかけて九州北部に停滞する見込み。予想される1時間雨量は多い所で、薩摩地方50ミリ、大隅地方40ミリ。10日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、薩摩180ミリ、大隅120ミリ、種子・屋久50ミリ。
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大雨の影響で、JR九州は、10日の始発から指宿枕崎線の五位野-枕崎間で運転を見合わせる。雨の状況で運転を再開する可能性がある。観光列車「指宿のたまて箱」は全列車が運休する。
県内のJRは9日、運転見合わせや徐行運転が相次いだ。喜入-枕崎は同日昼、五位野-喜入は夕方から運転を中止。肥薩、吉都、、日豊の各線で速度規制による運休や遅延が発生した。
鹿児島空港発着便は日本航空の屋久島、種子島、スカイマークの奄美の計3便が欠航した。