高島芳倫さん(左)と一緒になって歌う実行委員会やボランティアスタッフ=8日、出水市のマルマエホール出水
がんと闘う小学校教諭、高島芳倫さん(51)=鹿児島市=のライブ「まっちょとゆかいな仲間たち〜奇跡を座らせるLIVE」が8日、鹿児島県出水市のマルマエホール出水であった。今年3月の余命宣告を乗り越え、県内外から集まった約650人を前に15曲を熱唱。周囲への感謝を伝えた。
宮崎県の旧南郷町出身、鹿児島大学大学院で美術を学んだ。西出水小学校の教壇に立っていた2022年1月、膵臓(すいぞう)がんが見つかり休職。23年3月には腹膜播種(はしゅ)でステージ4と診断された。音楽が好きで、2年前は「奇跡を起こす」をテーマにライブに出演。今回は保護者らでつくる実行委員会=井川知明委員長(54)=の11人が「奇跡を長く居座らせたい」と企画した。
この日はギターを手に友人とのバンドやソロでポップスを歌った。親子4人の共演もあった。実行委、地元高校生らのボランティアスタッフと約50人で、ゆずの「またあえる日まで」で締めると、大きな拍手が起きた。合間には病気の状況や家族、恩師、出水への思いを語り「感謝する大切さに気付けたのは会場の皆さんのおかげ」と述べた。
前任地・瀬戸内町の加計呂麻島の秋徳小中での教え子、盛那々妃さん(22)は今春、同町の西阿室小で教師生活を始めた。「学ぶ楽しさを教わり、高島先生を目指して教員になった。歌声に泣いた」と話した。
高島さんは本番前に腹痛が起き、痛み止めを服用。途中で脇腹が痛くなったが終了後、多くの来場者と笑顔で会話し、握手した。「教え子たちを悲しませてはいけない。まだ死ねない」と語った。