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「教職調整額」を段階的に引き上げる教員給与特別措置法(給特法)の改正法が11日、成立した。待遇改善は一歩進んだが、「定額働かせ放題」とも言われる給与体系は温存された。鹿児島県内の学校現場からは、「残業代払って」「実態反映してない」など不満の声が聞かれた。
「教職調整額を上げるより残業代を支給してほしい。休日や夜の勤務はボランティアのようなもの。働いても働かなくても同じでは不公平」と鹿児島市の小学校に勤める40代女性教員は訴える。校務や書類作成に追われ、授業研究に割ける時間はわずか。「教えることに特化していかなければ、魅力を感じる仕事にはならない」
薩摩地方の中学校で働く20代男性教諭は、付則に明記された、時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度に減らす目標について「現場の実態と乖離(かいり)している」と憤る。教科指導に加え、学級運営や運動部顧問もこなす。「授業準備や保護者対応で残業が多い上、休日は部活の試合の引率まである。業務の整理は必要不可欠」と指摘する。
県教職員組合の田中誠書記長(54)は「給特法が維持されたのは残念だが、付則などに業務見直しや定数改善が盛り込まれたのは前進」と評価する。一方で法改正に伴い、多学年学級担当手当(複式学級手当)が来年1月から廃止される点については「複式が多い鹿児島では影響が大きい」と問題視する。「引き続き業務削減や給特法廃止に向け働きかけていく」と話した。