燃焼実験の様子をタブレットで撮影し記録する児童ら=鹿児島市の田上小学校
児童生徒が、自ら学習目標を設定し、計画を立て、学びの進捗状況を管理する-。学校現場では、ICTを活用しながら、「個に応じた主体的な学び」への試みが始まっている。鹿児島県内の小中学校で5月に開かれた研究公開授業から、現場の取り組みを探った。
「あれ? 思ったよりも長く燃えてる」。田上小学校(鹿児島市)で5月23日あった6年生理科の公開授業。酸素と二酸化炭素を50%ずつ入れた瓶に火のついたロウソクを入れると、児童から意外そうな声が上がった。
前回までの授業で、空気に占める気体の割合を調べた。燃焼前は窒素78%、酸素21%で、0.04%だった二酸化炭素が燃焼後は3%に増えた。数値を表計算アプリに入力し、円グラフにして変化を確認。多くの児童が、火が消える理由を「瓶の中の二酸化炭素が増えたから」と予想したが、「酸素が二酸化炭素になった」と考える児童も。どの予想が正しいか確かめるのが今回の実験の狙いだ。
次に酸素100%で試すと、勢いよく燃えた。燃焼後、瓶に石灰水を入れると、どちらも白く濁り、二酸化炭素があることが確認できた。児童は二つの実験をタブレット端末で撮影して比較。増田覚教諭(42)が「50%ずつでもすぐには消えず、石灰水はどちらも白く濁ったね。どうしてかな?」と問いかける。
児童たちはそれぞれの考えをアプリに入力。火が消えたのは、燃焼を助ける働きのある酸素が減ったからであり、「酸素の一部が二酸化炭素になった」と結論付けた。
児童それぞれが作成したグラフや動画、考察をアプリで共有できる。増田教諭は「実験動画を見ながら考え、すぐにシェアできる。書くのが苦手な子も、友達の意見を参考にして正解に近づける」とICT活用の意義を感じている。