「サッカー文化を醸成するにはスタジアムがあることが望ましい」と話す日本サッカー協会の宮本恒靖会長=16日、鹿児島市の南日本新聞会館
日本サッカー協会の宮本恒靖会長(48)が16日、鹿児島市の南日本新聞社を訪れた。昨年9月から全47都道府県の協会と意見交換をしている。鹿児島市のサッカースタジアム構想などについて聞いた。
-全国を回る中で見えてきた課題は。
「中学部活動の地域移行が全国共通の話題。中学生のプレーする環境が少なくなっている。地域差もあるが、明確な対応が取れていないようだ」
-県内ではバスケットボール、バレーボール、ハンドボールとプロや実業団のスポーツが盛んになっている。サッカーをどう盛り上げるか。
「鹿児島ユナイテッドFCの観客は増えている。成績が上がっていくのは重要だが、もっとサッカーの文化を醸成するにはスタジアムがあることが望ましい。陸上のトラック越しにプレーを観戦するのと、すぐ近くで見るのとではエンターテインメント性が全然違う。観客が生み出すパワーでゲームが変わる。スポーツの醍醐味(だいごみ)という点で、スタジアムは必須ではないか」
-鹿児島市のスタジアム構想は、候補地選定が停滞している。
「全国で主流なのは、スポーツの機能だけでなく商業、医療、文化施設を兼ね備えていること。試合がない日に、サッカーファン以外の市民が集まれることに意味がある」
-J2から降格し、現在J3で5位の鹿児島ユナイテッドをどう見ているか。
「昇格のチャンスはある。上位のカテゴリーに居続けることが重要。選手やチームだけでなく、クラブ全体が力を蓄え大きくなることが大切だ」
-鹿児島でも多くの高校生や中学生が頑張っている。エールをお願いしたい。
「海外でも日本の選手は評価されている。早い段階で欧州のリーグにチャレンジできるチャンスもあるので目指してほしい」
「協会では最近、エリートのピラミッドだけでなく、エンジョイの山もある、と言っている。二つのピラミッドがかぶっているイメージ。エリートだけでなく、エンジョイの部分の環境を整えることも協会の仕事だと思う。名門とされる学校以外の子も長くサッカーを続けてほしい」
■みやもと・つねやす 1977年生まれ。大阪市出身。プロサッカー選手としてガンバ大阪、オーストリアのザルツブルクなどでプレー。日本代表ではワールドカップ2大会に出場した。引退後はガンバ大阪の監督など。24年3月から現職。