伊仙町佐弁の住宅で2024年11月、住人の女性保育士が殺害された事件で、鹿児島家裁(日向輝彦裁判長)は16日、少年審判を開き、殺人などの疑いで家裁送致された当時高校生で17歳だった男(18)を検察官送致(逆送)すると決定した。「落ち度のない被害者を身勝手な動機で殺害した極めて重大で悪質な事案。刑事処分以外の措置を相当と認める事情は見いだしがたい」と理由を説明した。起訴され、成人と同様に刑事裁判を受ける見通し。
家裁は男を少年鑑別所に収容し、心理状況などを調べていたとみられる。16日の審判で日向裁判長は「少年の特性や育成歴の犯行への影響、少年に非行歴がないことなど、付添人が主張する諸事情を踏まえても、原則通り検察官に送致するのが相当」と結論付けた。
男は24年11月20日夕、女性=当時(55)=宅に侵入し、刃物のようなもので女性の上半身を複数回刺すなどして殺害したとして、殺人と住居侵入の疑いで2月に県警に逮捕された。逮捕時「包丁で刺して殺したことは間違いない」と容疑を認めていた。県警によると、女性の死因は出血性ショック。
地検は2月19日〜5月19日、刑事責任能力の有無を調べるため男を鑑定留置。同21日、殺人、銃刀法違反、住居侵入容疑で家裁送致した。家裁は、男を少年鑑別所に収容する観護措置の期限を当初の6月3日から17日までに延長していた。