自民の2万円給付案、物価高に苦しむ市民は冷ややか 森山幹事長は「食費1年間の消費税負担額」というが…「ばらまき」「焼け石に水」

2025/06/17 07:00
コメの価格高騰が続く中、安価な備蓄米を求めスーパーで行列を作る買い物客=8日午前、鹿児島市新栄町
コメの価格高騰が続く中、安価な備蓄米を求めスーパーで行列を作る買い物客=8日午前、鹿児島市新栄町
 長引く物価高とコメの価格高騰が市民生活に追い打ちをかけている。石破茂首相(自民党総裁)は、参院選の公約として、国民1人当たり一律2万円(子どもや低所得者は4万円)を給付する案を13日に表明した。「選挙対策のばらまきだ」「焼け石に水」-。公明党も歩調を合わせる方針だが、鹿児島県民からは冷ややかな声が目立つ。

 「物価高対策としては焼け石に水」。曽於市財部で茶業に携わる女性(45)は夫婦で納得できない様子。各種税金も上昇しており将来に不安を覚える。「消費減税をまずは実現してほしい」と訴えた。

 共同通信社が14、15両日に行った全国電話世論調査では、現金給付に関し反対54.9%、賛成41.2%で反対が上回った。

 妻、子ども3人と暮らす出水市高尾野の会社社長男性(45)も「政治的パフォーマンス」と否定的だ。経済的に厳しい家庭に配慮し「所得制限を設けた給付は賛成」と理解を示しつつ「財源は少子化対策に回すべき。いつか社会保障が崩壊する」と訴えた。

 20歳の大学2年生は「もらえたらうれしいけれどもっと大学教育にお金を使ってほしい」と漏らす。留学に興味があるが、渡航費や学費を考えるとためらう。「同じ2万円でも人によって重みも使い道も変わる。一律給付が最も良い方法だろうか」と首をかしげる。

 自民の森山裕幹事長は14日、金額の根拠について「食費にかかる1年間の消費税負担額が1人当たり2万円程度だ」と説明した。

 発言に対し「国民の実感とかけ離れているのでは」と指摘するのは、児童クラブ支援員として働く南九州市の女性(66)。子どもたちに出すお菓子も日に日に少なくなるばかり。「将来世代につけが回らないか心配」と語った。

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