噴煙を上げる新燃岳=22日、小林市南西方(住民提供)
鹿児島地方気象台は22日、鹿児島、宮崎両県にまたがる霧島連山・新燃岳(1421メートル)で噴火が発生したと発表した。午後4時ごろ、高原町の住民から降灰の通報があり、同4時37分に噴火を確認した。2018年6月27日以来7年ぶり。午後4時以前に噴火し、同5時55分に連続噴火が停止したとみられる。噴石の飛散は確認されていない。
気象台は、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)を継続し、火口からおおむね半径2キロの範囲で、大きな噴石や火砕流への警戒を呼びかけている。
気象庁が小林市に設置した監視カメラで午後4時37分に雲の切れ目から噴煙が確認された。噴煙の高さは500メートル以上で東の宮崎県側に流れた。同5時すぎに噴火継続を確認。同5時55分に噴火停止と判断した。
気象台によると、22日午後0時40分ごろ、新燃岳の浅い所で、大きく膨らんで縮む地殻変動が観測され、小規模な噴火があった可能性がある。火山性地震は21日午後9時ごろから増え始め、22日までに300回以上観測された。
気象台は3月30日、新燃岳の火山活動が高まったとして7年ぶりに噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げたが、5月27日にレベル2に下げていた。
鹿児島大学の井村隆介准教授(火山地質学)は「今回の噴火は小さいが、この後どうなるか分からない。マグマがたまっているのは事実で、レベル2に下げたのは安全宣言ではない」とし、火山防災の観点からレベル2の対応ではなく、住民の避難まで視野に入れた対応が必要だと指摘する。
また、気象庁の噴火情報が住民の通報を受けたものだったことを批判し、「大きな噴火なら住民の避難は間に合わない。噴火が予測できないことを前提に最悪の事態も想定すべきだ」と話した。