〈詳報〉新燃岳 噴火警戒レベル引き上げ 火山ガスが検出なしから4000トンに急増 山体膨張を示す地殻変動に変化はなし

2025/06/24 06:00
宮崎県高原町が高千穂峰登山口の皇子原公園に設置した登山道立ち入りを禁じる看板=23日、同町蒲牟田
宮崎県高原町が高千穂峰登山口の皇子原公園に設置した登山道立ち入りを禁じる看板=23日、同町蒲牟田
 鹿児島地方気象台は23日、鹿児島、宮崎両県にまたがる霧島連山・新燃岳(1421メートル)の山麓で火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が急増しているとして、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。新燃岳は22日、7年ぶりに噴火。気象台はその後、雲で噴煙は確認できていないとしている。

 レベル3は、7年ぶりに引き上げた3月30日〜5月27日以来。7年ぶりに噴火した後もレベル2を継続していたが、6月23日午前の現地調査で1日当たり4000トンの火山ガスを検出し、急増と判断した。火口から3キロの範囲で大きな噴石に、2キロの範囲で火砕流に警戒を呼びかけている。

 新燃岳は22日夕、1時間半以上にわたって連続噴火し、高原町で降灰が確認された。気象台によると、火山ガスは4月4日、5月15日の調査でいずれも検出できないレベルの量だったが、噴火後の23日の調査で4000トンと急激に増加した。22日に415回(速報値)あった火山性地震は23日午後9時までに16回と大幅に減った。22日にみられた山体膨張を示す地殻変動も23日は特段の変化がなかった。

 鹿児島地方気象台は同日夜、会見を開いて危険な区域に立ち入らないよう求めた。安藤忍地震津波火山防災情報調整官は「火山ガスの調査は天候に左右されるが、継続して注視していく」と述べた。

 新燃岳が噴火した場合、風下側では、警戒区域の範囲外でも火山灰や小さな噴石が降る恐れがある。

 高原町は、高千穂峰(1573メートル)と矢岳(1132メートル)の登山道3ルートを当分の間立ち入り禁止とする独自規制を設定。同日の下校時から町内6小中学校の児童生徒に防災ヘルメットの携行を求めた。霧島市は市内全域に防災無線やメールで警戒を呼びかけた。政府は首相官邸危機管理センターに情報連絡室を設置した。

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