スイミングスクールのインストラクターに指導を受ける児童たち=霧島市横川町中ノの横川小学校
鹿児島県霧島市は本年度、5小中学校で水泳授業の民間委託や複数校での合同実施、公営プールの活用を試験的に始めた。市教育委員会によると、老朽化に伴う修繕費用や水質・安全管理の負担軽減のための取り組みで、今後検討委員会を開いて各校の対応方針を決める。
12日、横川小学校に同じ横川地区の佐々木小、安良小の児童が集まり、3校合同の水泳授業を初めて実施した。横川小のプールは2009年完成で3校の中で最も新しい。
児童は横川小55人、安良小26人、佐々木小4人の計85人。学年や泳力で分かれ、国分のスイミングスクール「エルグ・テクノ」から派遣された6人のインストラクターの指導を受けた。子どもたちは冷たいプールの水に「寒い」と体を震わせながらも、大人数での授業を楽しんでいた。
横川小の有留雄一郎校長は「プロに教えてもらえることや3校の交流を深められるのはありがたい」としつつ「1校単独と比べて日程調整や天候判断が難しくなる。2時間連続の授業となるため、子どもの体力への配慮も課題になる」と指摘する。エルグ・テクノの西園貞大副社長は「泳ぐ力は命を守る力につながる。地域に根ざしたスイミングスクールとして今後も積極的に関わりたい」と話した。
国分にある市営の桷志田泉健康プールを利用する学校もある。向花小(346人)は同スクールに送迎を委託して実施。各学級に2人ずつインストラクターが付く。国分中は徒歩で同プールに移動し、指導はこれまで通り同校の体育教師が担っている。
市教委学校教育課によると、6~7月のプールの期間は、教頭や体育主任がこまめに水素イオン濃度(pH)や塩素の調整、濁り具合、水温の確認をしている。また、水道水を使う市内24校でプールにかかった水道料金は、24年度で計489万円だった。
市内約7割の小中学校でプールの建築から40年以上が経過しており、同課の山口良二課長は「学校プールの老朽化は喫緊の課題。成果や課題を整理して、各学校の水泳授業がより充実するよう取り組む」と話した。