〈資料写真〉十島村営船「フェリーとしま2」
3日午後4時13分ごろ、十島村の悪石島で震度6弱の地震があった。村は全員の無事を確認した。トカラ列島近海を震源とする地震は6月21日から相次ぎ、7月3日午後10時までの累計は1085回となった。十島村は3日夜、避難を希望する悪石島住民13人を4日朝の村営船「フェリーとしま2」で鹿児島市へ避難させると明らかにした。
村は一時、島全域に避難指示を出し、住民は学校の校庭に集まった。島外避難する住民は小中学生6人を含む0~80歳。村営船「フェリーとしま2」で4日午前7時すぎに島を出て、午後6時半前に鹿児島市に到着予定。避難は1週間ほどを想定し、延長や避難者の追加も検討する。
久保源一郎村長は、会見し「震度6弱は初めて。今までより一段階上がったため災害対策本部を設置し、希望者の島外避難という形をとった」と述べた。県は3日、十島村への災害救助法適用を決めた。
気象庁によると、震度6弱の地震の震源の深さは約20キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5.5と推定される。県内で震度6弱を観測したのは1997年の県北西部地震以来。
一連の地震活動では、2日午後に小宝島で震度5弱を観測したM5.6に次いで規模が大きい。鹿児島地方気象台は、震源が近く、浅い地震だったため、大きな震度を観測した可能性があるとしている。
3日は午後10時までに震度6弱のほか、震度4が5回、震度3が10回、震度2が29回、震度1が68回の計113回の地震があった。
観測データがある1995年以降、この地域でのM2.5以上の地震は2023年9月の345回が最多で既に約3倍に上り、過去の地震活動と比べて突出している。気象庁は、今後の見通しについて「分からない」とし、当分の間、震度6弱程度の地震に備えるよう注意を呼びかけている。
石破茂首相は、被災者の救命・救助など災害応急対策に取り組むよう政府内に指示。政府は、首相官邸の危機管理センターに設置していた情報連絡室を官邸対策室に格上げした。