小宝島から避難し、報道陣の取材を受ける齊藤星さん=6日午後5時55分ごろ、鹿児島市本港新町の南ふ頭旅客ターミナル
最大震度6弱を含む群発地震が続く鹿児島県十島村で、島外避難の第2陣となる悪石島と小宝島の住民計46人が6日夕方、村営フェリーで鹿児島市に到着した。地震の揺れに悩まされ続けた避難者は、港に降り立ち安心した表情を見せた。避難の航海中も震度5強の地震があり、「無事でいて」と島に残る隣人を案じながら避難先のホテルに向かった。
6日午後5時半ごろ、悪石島の31人、小宝島の15人を乗せた村営船「フェリーとしま2」が鹿児島港内に姿を見せた。待ちわびた家族や村職員がフェリーターミナルに駆け付ける中、鹿児島港本港区南ふ頭に間もなく到着した。
避難者は大きなリュックサックやキャリーケースを抱えて下船。半日の船旅で足取りは重かったものの、出迎えた関係者の姿を見つけて笑顔を浮かべた。
「子どもの無事を保証できる自信がなかった」。義務教育学校小宝島学園の寮監を務める齊藤星さん(48)は、生活を共にする山海留学生6人の安全を優先して避難を決断した。家族を含む9人で船に乗り込んだが、船上でも地震のニュースが相次ぎ、小宝島に残る人たちのことが心配になった。
到着後に報道陣の取材に応じ、「やっと穏やかな場所に着いた」と胸をなで下ろした。「災害やけがの恐れがない、落ち着いた日々が早く訪れてほしい」と願った。
宮崎県高原町の女性は、小宝島学園に山海留学している息子(8年)の帰りを待った。「暗い表情で下りてこないか」と心配したが、元気に下船する姿を見て一安心した。家族そろって出迎え、「無事で何より。まずはゆっくり眠ってほしい」とねぎらった。