立ち寝するマッコウクジラ=6月23日、宇検村沖(興克樹さん提供)
奄美大島宇検村の沖合約15キロで、約20頭のマッコウクジラの群れと、その一部が立ち寝する姿が確認された。撮影した奄美海洋生物研究会(鹿児島県奄美市)の興克樹会長(54)は、「こんなに大きな群れと立ち寝姿を見るのは初めて。群れがいた場所周辺にはイカ類が多く生息するとみられ、繁殖や育児に適した場所なのだろう」と驚いている。
興さんによると、マッコウクジラの1日の睡眠時間は100分ほどで、立ち寝することで知られる。約20頭の群れを撮影したのは6月下旬。全長は10メートル前後が中心で、そのうちの4、5頭が5分ほど頭を上にして静止するのが確認された。
同研究会は2020年から奄美海域でマッコウクジラの生息状況を調査。母子群の定住のほか、春から夏には成熟した雄が出現することを確認している。国内でマッコウクジラと泳げるツアーが行われているのは奄美海域のみといい、興さんは「生態解明を進めつつ、新たな観光資源にしていきたい」と話している。