午前1時。集落を襲った土石流は21人の命を奪った――出水・針原災害から28年、住民ら献花式「地域防災の意識高める。残された私たちの使命」

2025/07/10 11:54
犠牲者の冥福を祈り献花する参列者=10日、出水市境町の針原川災害復興記念公園
犠牲者の冥福を祈り献花する参列者=10日、出水市境町の針原川災害復興記念公園
 28年前の土石流災害で21人が亡くなった鹿児島県出水市針原地区で10日、犠牲者を慰霊する献花式があった。住民、市や学校の職員ら76人が、記憶の継承と防災対策の充実を誓った。

 式は針原自治会と市が主催。参列者は黙とうの後、犠牲者21人の名が刻まれた慰霊碑の前で献花、手を合わせて冥福を祈った。

 椎木伸一市長は「災害を風化させることなく、学んだ教訓を後世に伝え、広く防災意識の啓発に努める」とあいさつ。高岡俊雄自治会長(66)は「針原で発生したような災害は、今の異常気象を考えると増加するのではないかと危惧する。ここで起きたことを教訓に、地域防災の意識を高め、発信することが残された私たちの使命」と述べた。

 針原の土石流災害は1997年7月10日午前1時ごろ発生。21人の中には、出水商業高校1年の女子生徒1人も含まれる。竹之下純與校長(57)は当時、プログラミングを教えていたといい「おとなしくていい子だった。一日一日を大切に生きること、自然災害の恐ろしさを、今後も在校生に伝えていきたい」と語った。

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