火山灰などでふさがれた取水口付近を確認する水利組合の関係者=12日、霧島市霧島田口の霧島川
霧島連山・新燃岳の噴火に伴う降灰や雨の影響で、鹿児島県霧島市の霧島川に火山灰や石が流れ込み、農業用水の取水口をふさいで水が供給できない状態になっている。用水は同市の霧島田口と牧園町持松の計129戸64ヘクタールの田んぼに引かれており、米作りへの影響が懸念される。
取水口は、霧島川を霧島神宮付近から1キロほど上流にさかのぼった九州電力霧島第一発電所近く。管理する霧島町田口水利組合によると、11日、水門を開けても水が流れてこないことから、役員が現地を訪れ、土砂でふさがっていることが分かった。12日は市職員も状況を確認した。
取水口付近には灰が分厚く積もって水を遮り、直径1メートルほどの石がいくつも転がっていた。雨が降った際、上流に積もっていた灰が土砂や木々を巻き込みながら流れてきたとみられる。
現地を見た同組合の後藤辰美事務局長(77)は「土砂が多く石も大きい。こんな状況は初めて。人力で取り除くのは難しい」と話した。
深町四雄理事長(83)は「今はイネの茎が増える分けつ期にあたり、水が必要。収穫期に向けて今後も水を張らないといけない時期がある」と田んぼへの影響を心配した。
新燃岳は6月22日、7年ぶりに噴火。福岡管区気象台によると、同27日から断続的に噴火が観測され、7月4日には噴煙が5000メートルに達した。12日は火口付近が雲に覆われた。気象台は、状況は不明だが「噴火したもよう」と発表。午後1時すぎ、火口から約3キロ地点の監視カメラに火山灰が付着したため判断した。火山性微動は、継続時間が短いが断続的に続いている。