校庭の暑さ指数を計測する伊集院中学校生徒会保健部の生徒=7日、日置市
厳しい暑さが続く中、鹿児島県内の公立学校は熱中症対策に知恵を絞っている。熱中症リスクの指標となる「暑さ指数」測定による注意喚起や、涼しい服装での登校許可など、安全を確保し快適な学校生活を送るための取り組みを進める。
「今日の暑さ指数は34.3です」。伊集院中学校(日置市)の給食時、放送委員のアナウンスが流れる。気温や湿度から算出する暑さ指数を、今年7月から生徒会が専用機器を使って校庭で測定し、放送や掲示板で注意を促す。この日は31以上の「危険」に該当していた。生徒自ら取り組むことで、帽子の着用や日陰に移るなど意識付けにつながっているという。
同校では1998年8月、当時2年生の男子生徒が部活動中に熱中症で死亡。以来、予防の講話や学校独自のマニュアルの作成など、対策を進める。
暑い時期の授業時数を減らすため、例年4月に実施していた三者面談を今年から7月に移し、授業は午前中で切り上げる。小野修校長は「空調のない教室もあるので夏場の授業はリスクが高い」と話す。
鹿児島市の甲南高校は6月下旬から約3カ月間、登下校や授業中の服装を生徒が選択できる。7月4日、多くの生徒が体育服や部活の練習着で登校。日傘や携帯扇風機を手にする姿も見られた。
1年の吉岡寧音さんは、ダンス部のTシャツに体育服の半ズボンで登校。「通気性が良く、汗をかかなくて済む」と喜ぶ。宮田俊一校長は「快適な服装を主体的に考える機会にもなっている」と語る。
消防庁によると、2024年5~9月、県内の熱中症救急搬送者2253人のうち、小中高校生は253人。教育機関から運ばれたのは114人だった。県保健体育課の山元尚史課長は「暑さの感じ方や体力は個人差がある。無理せず、体調が悪いと感じたらすぐ対処するよう心がけて」と呼びかけた。